突然ですが「あなたの足首 、冷たくないですか?」
数十年前に比べると現代人の平熱は0.5〜1.0度低いと言われています。
長い人類の歴史の中でたった5、60年程でもこれだけ体温が下がっているのです。
文明の利器の発展、何を良しとするかは難しいですが便利になればなるほど人の代謝は落ちていきます。
代謝が落ちれば外敵からの抵抗力も弱まるのでウィルスや菌の脅威に晒されやすくなります。
「基礎体温 が低いとガン細胞の増殖に適している」という様なことも耳にしたことはあるのではないでしょうか。
積極的に動く機会が減りデスクワーク 等で下半身の血流が滞ると、血液は主に上半身だけを廻るようになります。
本来、足まで運ばれた血液は「足の筋肉が動くこと」によって少しずつ上半身に戻ってきて内臓で分解やリサイクルがされるのですが体を動かす機会が減っていることで腰やお尻の筋肉が固まり交通渋滞を起こしてしまいます。
また、これは何回か後の記事で取り上げようと思っていますがPCやスマートフォンの普及による目からの刺激で「交感神経」のスイッチがオフにできない人が増えています。
交感神経というのは活動している時、動物でいう狩りの時や攻撃時に作用が強まる神経です。
ちょっと「身構えた自分」を想像して見てください。
手足に若干力が入っていませんか?
力が入っている場所というのは筋肉によって血管が圧迫されるので暖かい新鮮な血液が行かなくなります。
当然、長く続けば冷えるわけです。
ちなみにリラックスしている時というのは「副交感神経」のスイッチが入ります。
これは食事の時や休息時に作用が強まります。
お腹いっぱい食べた時や、疲れて倒れこんだ時には全身の力がだらんと抜けますよね?
この、オンとオフのスイッチを自分でうまく調整できる様になると不調の改善に繋がってきます。
自分なりにストレッチや体操法、呼吸法 を生活の中にうまく取り入れて見てください。
さて、目からの刺激が、、と先ほど書きましたが個人的にはそれ自体が悪いという風に考えていません。
1日の中でその刺激に晒されている時間が長いのが問題なのです。
「外からの刺激」というのは自分が意識してなくても「ストレス」として蓄積されます。
厚生労働省のホームページにはこんな風に書いています。
-以下、一部抜粋-
『そもそもストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。 外部からの刺激には、天候や騒音などの環境的要因、病気や睡眠不足などの身体的要因、不安や悩みなど心理的な要因、そして人間関係がうまくいかない、仕事が忙しいなどの社会的要因があります。』
治療院に来られる方の中にも「私は思い当たるストレスはありません」といって話を聞いてみると実は大音量でいつも音楽を聴いていたり、ストレス解消のためにとスマホゲームに没頭して目を酷使していたりと自覚のないストレスが蓄積していることがあります。
結果としてそういった蓄積は自律神経のバランスを崩すことになります。
そして自律神経の働きが乱れると動きが悪くなるものがあります。
何でしょう??
それは「腸」です!
お腹の下の方は、もも(大腿鼠径部)の付け根の辺りまで腸が詰まっています。
人の腸は長さ約7〜9m、ぎっしりです。
そこが上記の理由にプラスして、例えば
○オフィスでも自宅でもPCを前屈みで長時間扱っている
○冷たい物を好んで飲食して胃腸が冷え切っている
○暴飲暴食続きで、病気とは診断されないレベルでも常に炎症が起き腸管が腫れている
などが更に積み重なると「冷え性」のサインが出てきます。
ドキッとした方、お腹を押してみて張りや硬さ、違和感感じるところありませんか?
『それ、滞ってます。』
東洋医学 では「頭寒足熱」をとても大事にします。
それが健康な状態だからです。
頭や心臓が熱を持つと機械で言うオーバーヒート状態になりますから、胸から上は熱を冷ましやすい様にしておくとパフォーマンスが上がります。
露天風呂 を想像してみてください
外が寒くてもお湯が温かく、尚且つ頭がのぼせていなければ気持ち良くお湯に浸かっていられるかと思います。
しかし、長く浸かり過ぎれば湯当たりでのぼせや発熱の症状が起きます。これは全身に熱が回り過ぎた状態ですね。
人間も自然の一部ですので地球の重力や気圧、天候などの影響は当然受けています。
身体の中で強い熱が発生すれば上昇し、強い冷えが生じれば下降していきます。
上下の不自然な寒暖の差が生まれれば体内に「通常にはなかった流れ」が生じます。
何らかの不具合=病、が発生します。
冷えの話に戻りますね。
冷えによる不調は外からの刺激(自然の寒さ、空調など)で強制的に冷やされるパターンと
食事や姿勢、負の感情により内臓の活動に何らかの障害が出て熱が下半身に行かないパターン or 冷えが下降していくパターンなどがある訳です。
(ちなみに激しい怒りや強い悲しみといった偏った感情が体に不調をきたすのはホルモンの働き等で説明できる時代です。「病は気から」という言葉はあながち間違っていないんです。)
ということで、足に血液を呼び込みながらお腹の固さを取ってあげるアプローチをすると冷え性というのは改善されていくんです。
就寝前に横になった時に、立膝をしてお腹のマッサージ & 足のストレッチをするだけでも体調は良くなります
毎日やると自分の体調によってお腹の硬さのクセも把握できる様になって来ます。
また、有名なツボなので在り来たりですが三陰交(サンインコウ)という場所へのお灸はオススメです。
【三陰交】
これは逆子にも使うところで有名です。
(妊婦さんが使用する場合はまずは担当医にご相談ください。)
三陰交は下半身を流れる三つの陰の経絡(東洋医学で重要な流れ)が交わるところで「陰」は冷えを司ります。
現代医学的にも下半身の血流改善につながるとされています。(注1)
お灸はネットでも簡単に手に入りますので、まずは刺激の軽い物から試してみてください。
ソフトからハードまで今は種類がたくさんあります。
基本的には「熱さを感じたらお終い」です。
(1回で熱かったら1回、3回なら3回で終了し、慣れないうちは特に近くに灰皿や缶の蓋等を置いて水を張り素早く取ってください。)
そして、お灸は足し算と考えてください。
物足りないと思ってやり過ぎると刺激が入り過ぎて具合が悪くなる場合がありますので特に初めての方は少しずつ試してください。
「久しい火」と書いてお灸ですので慢性の症状にはコツコツと毎日でもやってあげると良いでしょう
(専門家は引き算もしますし、急性の症状にもお灸は使いますが市販の物では調整が難しいかと思います。)
指で押す場合は「筋肉を刺激しない程度の弱さで」「皮膚のたゆみを引っ張りすぎない程度に」優しく押してあげてください。
強く押すとただの筋肉刺激になります。
10秒〜30秒くらいを目安に押しましょう。
身体というのはバランスがとっても大事です。
栄養でもそうですよね。
いくら健康に良い食べ物があったとしても食べ「過ぎれば」それは体調を崩す一因となります。
季節の移り変わる時期こそ体調が崩れます。
自分の体と向き合って元気に過ごしましょう!!
【注釈】
1.ツボの効果に対する現代医学的な研究は今も各種行われており三陰交に対しては色々と論文が出ています。
例(日温気物医誌第 75 巻 2 号 2012 年 2 月)
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